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夏の風物詩!ホタルの生態に迫る・採集(観察)方法などを紹介

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夏の風物詩!蛍の生態・採集(観察)方法を紹介


日本には約50種類のホタルがいます。
幼虫時代を水の中で過ごす水性ホタルは世界でも約10種しかおらず、そのうちの3種類は日本に生息しています。(ゲンジボタル・ヘイケボタル・クメジマボタル
世界的にも珍しく、日本では古くは『万葉集』や『日本書紀』、紅白歌合戦の締めの『蛍の光』、映画『ホタルの墓』など、親しまれているホタルの生態をご紹介していきます。

ゲンジボタルとヘイケボタルの生態

体長:
ゲンジボタル10~16mm程
ヘイケボタル7~10mm程

ゲンジボタルの生態:
ゲンジボタルは流れの緩やかな清流にに住みます。水路や小川など。田んぼのような止水には住めず、常に穏やかな流れのある場所を好みます。初夏に発生し、交尾をしたメスは川辺の苔や植物に卵を産み付けます。1匹のメスが産む卵は500~1000個程。卵は孵化するとカワニナという貝を中心に小型巻貝をエサとして、脱皮を繰り返し成長します。夜行性で、昼は川の岩の下などに潜んでいます。翌春、4月上旬頃には蛹になるために、雨が降る夜などに上陸します(成長の遅い個体はさらに翌春に上陸)上陸した幼虫は川辺の土中で蛹化して、6月頃に羽化します。成虫の寿命は短く7~10日程で、その間に繁殖活動をします。

ヘイケボタルの生態:
ヘイケボタルは田んぼなどに住んでいることが多いです。初夏に田んぼのあぜに産卵され、卵から孵化した幼虫は田んぼの水の中で育ちます。1匹のメスが生む卵の数は50~100個程。稲刈りの9~10月前に田んぼの水は落とされ乾きますが、その時期ヘイケボタルの幼虫は田んぼの湿った場所や土中で簡易的な土部屋を作ってじっとしています。3齢幼虫以上になっていれば絶食にもより強くなり(半年、土部屋にいても大丈夫)、春にまた田んぼの水が入るまで耐えることができます。ゲンジボタルがカワニナを好むのに対して、ヘイケボタルはカワニナの他にもヒメタニシや水生昆虫など、いろんなものを食べます。ゲンジボタルより成長も速く、ゲンジボタルが4~5カ月以上かかるのに対し、環境が良ければ40日程で終齢幼虫になります。ヘイケボタルも4月上旬頃に上陸を始め、田んぼの土手などの土中で蛹化して、6月下旬頃に羽化し、7月頃に活動をはじめます。成虫の寿命は7~10日程です。ヘイケボタルはあまり移動しない傾向にあり、同じ場所(半径50m以内が多い)で発生を繰り返します。そのため環境の変化に弱く、一気に個体数が減ってしまうことも。


↑ホタルの幼虫


↑ホタルの幼虫の好物、巻貝のカワニナ

共通する生態:
幼虫は獲物の巻貝に咬みついて麻酔をかけ、相手を溶かして食べてしまいます。気門とエラを両方持っているため、陸上でも活動できます。そのため、上陸して土中で蛹化することができます。幼虫は発光しながら上陸しますが、外敵から身を守るためです。成虫が光るのは求愛シグナルです。光を点滅させて飛んでいるのはオスです。
*ホタルの発光はルシフェラーゼという酵素による生化学的な酸化反応

ホタルは光で結婚相手を探すため、街路灯など、他に大きな光があるとオスがメスを探せなくなってしまうことがあります。

分布:
ゲンジボタル:本州・四国・九州
ヘイケボタル:日本全土

天敵:
成虫の天敵はクモの巣やザリガニなど
幼虫の天敵はサワガニ、ザリガニなど

 

ホタルの防御技

・羽や腹部から白色の分泌液を出して、悪臭で防御(成虫・幼虫共に)

・発光して驚かして防御(成虫・幼虫共に)

 

ホタルの主な採集(観察)方法

ゲンジボタルは5~7月頃、清流の川辺に。関東では6月上旬頃見られることが多い。
ヘイケボタルは6~8月頃、田んぼや用水路、湿地の近くで発生して活動します。
観察時間は19:30~21:30頃が適しています。
*成虫のホタルの寿命は短く、飼育環境を整えるには準備が必要なため、できるだけ観察だけに留めておきたいところです。

 

減少するホタル

清流の減少や土手のコンクリート化
また、
特にヘイケボタルは田んぼに適応した種でしたが
稲作の近代化、機械化や農薬の進歩で生息環境が急変してしまい急速に減少しています。ヘイケボタルは移動力が弱いのも致命的で、一度ある地域で絶滅すると、復活が難しいという側面もあります。ヘイケボタルは谷戸田という、両側を里山に囲まれた田んぼを好みますが、そういった田んぼも減っています。ホタルを守るため、各地で有志による保護活動が展開されています。

↑谷戸田

 

かつて、夏の日、田舎のおじいちゃんおばあちゃんの家近くの田んぼにいたホタル。清流のせせらぎで光る蛍。自然下で見るホタルは一生の思い出になりますよね。そんな環境を、いつまでも残していきたいですね。

 

 

 

 

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