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黄色の爆撃機~オオスズメバチやキイロスズメバチの生態と予防策を紹介

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黄色の爆撃機~オオスズメバチやキイロスズメバチの生態と予防策を紹介

まるで武装ヘリコプター「アパッチ」のような、いかにも危険!を想起させ恐怖の対象でもあるスズメバチ属。その中でも世界最大のスズメバチである「オオスズメバチ」、都会でもよく見かける「キイロスズメバチ」の生態について見ていきましょう。日本にはスズメバチ属は7種いると考えられています。オオスズメバチ、ヒメスズメバチ、モンスズメバチ、チャイロスズメバチ、キイロスズメバチ、ツマグロスズメバチ。ちなみに高橋尚子選手のCMでおなじみの明治の飲料水「VAAN」ヴァームは、1日に数十kmも飛び回るスズメバチの働きバチの研究からうまれた商品です。

 

スズメバチの生態

オオスズメバチの生態:

世界最大で女王バチの体長は45mm程。地中や木のうろなどに巣を作り、直径1m近い巨大な巣を作ることも。地中の空洞に巣を作ることが多い。エサは主に昆虫や樹液、リンゴ、ブドウなどの熟した果実など。コガネムシやカミキリムシ、カマキリといった比較的大型の昆虫もエサとする。秋になり、エサの昆虫が少なくなると、数百匹の大量の幼虫を育てるため、セイヨウミツバチなどの巣を見つけると腹部から餌場マークフェロモンを塗り付け、集団で巣を襲う行動をとることがある。30匹の働きバチで、3万匹のセイヨウミツバチの巣を全滅させることも。二ホンミツバチの場合は、500匹程の蜂球による熱でオオスズメバチの致死温度46℃を超えることで、対抗してくる。オオスズメバチはミツバチ類だけでなく、よりリスクの高いチャイロスズメバチやキイロスズメバチといったスズメバチ属の巣を襲うこともある。新女王バチと雄バチの交尾は、10月半ばの午前中に行われることが多い。その際には巣の前に30匹以上の雄バチが集合する。多い時には1日に20匹以上の新女王バチが巣を離れ、旅立っていく。

土中の巣

参考URL
二ホンミツバチの生態を紹介

動画
二ホンミツバチの蜂球

セイヨウミツバチを襲うオオスズメバチ

 

キイロスズメバチの生態:

日本のスズメバチの中では最も小さいが、巣は最大規模で直径1m近くになることも。都会の環境にも適応して勢力を伸ばしている。働きバチの数も多く、大きな巣では1000匹近くになる。果物や飲み残しのジュースなども食料とし、近年では人家の近くに巣を作ることも多い。木や軒下などに巣を作る。最初の巣が手狭になると引越しをすることがあり、その時期は7~8月が多い。引っ越す際には働きバチ(メス)が各所に巣を作り、そのうちの1つに女王バチが入るが、残された巣で働きバチが卵を産み(無精卵のため全て雄が羽化する)育てることがある。主に昆虫や樹液などをエサとする。

キイロスズメバチの巣

 

スズメバチ属の特徴的な生態:
・スズメバチ類共通の特徴として、外敵に攻撃を受けたりすると、毒液に含まれる揮発性の警戒フェロモンを出して、コロニーの仲間に知らせる。

・働きバチはエサを肉団子にして幼虫にあたえるが、幼虫はその栄養の一部を唾液にして分泌し、それを成虫が摂取する。この幼虫の唾液の栄養が、スズメバチのスタミナの源泉だと考えらえれている。この唾液には17種のアミノ酸を主とする成分がバランス良く含まれており、脂質をエネルギーとして利用する代謝が活性化される。

・越冬するのは女王バチのみで、春まで休眠する。越冬場所はキイロスズメバチやコガタスズメバチは朽木の中に穿孔して部屋を作り、オオスズメバチやヒメスズメバチは地中だと考えられている。

・巣の材料は、枯れ木などを5mm程の球にして、それを薄く伸ばし壁にして塗り固めていく。何重にもなる空気の層ができ、断熱効果抜群。建築家が注目する程である。幼虫の巣房は正六角形のハニカム構造をしている。

・女王バチが巣を作り始める時期は4月下旬~5月初旬が多い。

・巣に近づいたりすると、大顎をカチカチ鳴らして威嚇する。

・女王バチは「生殖」を担い、働きバチは「労働」を担う分業体制。巣の創設女王は、その年の冬には死ぬと考えられている。

・炭水化物源として、樹液や花蜜、カイガラムシ類やアブラムシ類の甘露を摂取する。

・卵~羽化の期間は1か月前後と考えらえる

 

天敵:
ハチクマ(猛禽類)・・・スズメバチの巣を襲う。
エゾカギバラバチ、スズメバチネジレバネなど。エサなどを通して幼虫に寄生する。

 

人間との関わり

スズメバチは捕食者として生態系の中で大きな役割を担っている。人との関わりでは、やはり危険生物ということで嫌われることが多い。幼虫はタンパク源の珍味として食べられ、巨大な巣はインテリアとして珍重されることもある。日本では毎年10人以上、蜂に刺されて死亡している。

 

スズメバチ予防策

・巣に近づかない。特に8月~10月は巣も大きくなっており、危険

・黒色は狙われやすいので避ける

・巣の5m以内に近づくのは非常に危険。特に8月~10月は。巣からは10m以上離れた方が良い。

・整髪料などの香りに、成分によってはスズメバチを誘引する物質が含まれることもあり、注意

・ハチを手で振り払うなどの行動は集団攻撃を誘発するので避ける。すみやかにその場から退避を

・巣を駆除する場合、専門家に依頼するのが普通だが、活動の鈍る夜間に巣の出入口を封鎖して薬殺し、残った働きバチなどはスプレーなどで駆除する方法が一般的である

 

他のスズメバチの紹介

・ヒメスズメバチ

昆虫類はアシナガバチ属だけをエサとする特異な食性をしている。

 

・コガタスズメバチ

 

・ツマグロスズメバチ

日本では宮古島より南の八重山諸島にだけ分布。

 

・モンスズメバチ

夜間も活動する習性。

・チャイロスズメバチ

女王バチは営巣初期にモンスズメバチやキイロスズメバチの女王バチを刺殺して巣を乗っ取る。

 

その造形と強力な毒針から恐怖を掻き立てられるスズメバチ。
刺された場合、アナフィラキシーショックの症状が出ることもありますのですぐに病院へ。触らぬ神に祟りなし、出会ってもできるだけスルーして刺されないように気をつけたいですね。

 

 

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