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ブナ林の秘境に住む!ヒメオオクワガタの生態・採集(観察)方法・飼育方法を紹介

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ブナ林の秘境に住むクワガタ!
ヒメオオクワガタの魅力

生態がある程度解明されるまで”知る人ぞ知る”クワガタだった
ヒメオオクワガタ。
本州では標高1000m以上の高山に生息し
日中に広葉樹の樹液を吸ったり樹上を歩く姿を観察することができます。
自然溢れるブナ林の秘境に生息する魅力あるクワガタです。
野外(野生)ではオオクワガタほどレアではないものの、
レッドデータブックの絶滅危惧種に指定されている県も多く、見つけるのは難しい部類です。
それだけに一部のクワガタマニアから安定した人気もあります。
爽やかな空気がひろがる林道で、ヒメオオクワガタを発見できた時は感動しますよ!

 

ヒメオオクワガタの生態

体長
♂28~58mm程

♀28~43mm程

樹上生活に適応するためか、他のクワガタに比べて足が細長いです。

生態:
成虫は6月~10月半ばに出現し、活動することが多い。昼行性が強く、高標高のブナ林にて、自分でヤナギやカンバの木などを齧り傷つけ、出る樹液を吸う。休んでいる時は木の根元などに潜っていると推測される。ブナ林にて、気温が上がってくる朝10時~16時頃によく活動する。6月~7月はオスが多く(メスは産卵活動をしている?)、8月下旬~9月中旬くらいが個体数のピーク。メスはブナやミズナラの大木の倒木や立ち枯れに産卵することが多い。幼虫は根などの堅い部分に入ることが多い。人などの気配や振動を感じると木から落下して危険回避する習性があり、落下した個体は素早く下草などに潜り込むため発見することは難しい。
クワガタの書籍には成虫は「昼に活動」とありますが、正直ブナ林の林道を夜に観察するのは不可能に近いので誰も解明できないと思いますが、個人的には実際は盛夏など、環境や気温によっては夜も活動している可能性があるのではないかなと思います。灯火採集でも稀に飛んできます。

分布:
北海道・本州・四国・九州

寿命:
成虫は野生では1~2年
飼育下では数年。

 

ヒメオオクワガタはどこにいる?

本州では標高1000m以上でバッコヤナギやヤマネコヤナギ、オノエヤナギといった柳の木、ダケカンバやシラカンバなどが多くある林道を探すのが近道です。多産地は意外と少なく、生息地を探すのには根気がいるかもしれません。福島県桧枝岐村が今も昔も多産地として有名ですが、昔に比べると採集者の増加や乱獲などにより個体数は激減しています。ただし、いる環境を知るという意味では、一度足を運んでみる価値はあるかと思います。桧枝岐村はソバもおいしいし、温泉もあるしでいいところです。若者が地元に戻ってくる村ということでも有名ですね。何より一際深さを感じる大自然に圧倒されます。

ただし、ヒメオオクワガタの生息地=ツキノワグマの生息地(北海道ではヒグマ)であるため
できるかぎり熊対策をして、複数人で行動されることをオススメします。

 

ヒメオオクワガタの主な採集(観察)方法


最も一般的なのは7月~10月初旬の晴れた日に(晴れた日でないとルッキングし辛い)陽があるうちに生息地、本州だと標高1000~2000m程の林道のヤナギやカンバの木をルッキングする方法です。(標高1200~1700mあたりによくいる印象)運が良ければ、樹上で活動するヒメオオクワガタを見ることができます。樹上にいることも多いため、採集する場合は長めの(3~5m)棒や網があった方が良いです。登山道などのブナの木の根元にいた!という観察例も聞かれます。高温に弱いので、採集する場合は持ち帰り中の管理も気をつけてあげたいですね。
7月~9月頃まで灯火採集でも稀に飛来します。

 

ヒメオオクワガタの飼い方

ヒメオオクワガタも普通のクワガタと同じように飼うことができます。
ただし
冷涼な環境に適応した種ですので(生息地では晩秋に気温が10度以下でも活動していたという報告が多くあります)
クーラーなどにより温度管理をしないと弱ってしまい(26度以下がのぞましい)
そういう意味では飼うハードルの高い種類です。
飼育下でも数年は生きますが
産卵も難しいと言われている種です。

ここでは簡単な飼い方をご紹介します。

1ペアを飼うのを想定して
(クワガタは基本的に1つのケース1ペアで飼います。狭い空間でそれ以上飼育すると、ケンカして弱ってしまうのでおすすめできません。)
*ヒメオオクワガタは意外と闘争心旺盛なクワガタです

必要なものは
・中ケース程のケース(横300×奥195×高205ミリ)
・マット3cm~10cm程(広葉樹など)
・エサ(ドルクスゼリーなどのゼリータイプが使い勝手が良いです)
・棲家となるような木
・霧吹き(水分補給などに)

本州での飼育下では4~11月の活動期には2~7日に1度ゼリーをあげたり
霧吹きをしたり、排泄物の掃除をしたりと
そこまで手はかからないのではないかと思います。

マットは適切な水分保持の役目があり
ちょっと水分を含むくらいにしておきます。(水分が多過ぎてもだめです)
11~12月以降は外気と気温がそう変わらない場所にケースをおき
冬眠させます。
冬眠させる際には、マットの厚みが多少あった方が良い気がします。

産卵させる場合

ヒメオオクワガタは産卵させることが難しいクワガタです。
自然下ではブナやミズナラの倒木や立ち枯れに産卵します。
飼育下でも、もし手に入ればブナやミズナラの木が良いのかもしれません。
シイタケのホダ木での産卵成功例もあります。
野生では、秋に交尾をして持ち腹で越冬したメスが、翌年の5~7月頃に産卵活動をすることが多いのではないかとも推測されています。

産卵の手順として
1.ペアリング。5~9月に羽化後3~4カ月以上たったオスとメスを2~3週間一緒のケースで飼う。(羽化後、間もないと体が成熟しておらず、産卵しない。野外で採集したものは交尾済みのことも多い)

2.産卵木となるブナ材やしいたけのホダ木を入れ、マットに3分の1~3分の2程埋め込みます。自然界ではメスは持ち腹で越冬して翌年の5~7月頃に産卵活動をすると推測されています。
*産卵木は2~3時間水につけて数時間~半日程陰干しして適度に乾かしたものを使います。水分を含み過ぎていても、乾燥し過ぎているのもよくない

3.産卵木をセットしてから(産卵してから)1ヵ月半~2ヵ月半程したら産卵木に幼虫がいるはずなので、産卵木をドライバーなどで割って、幼虫を取り出し、幼虫飼育用の容器に入れます。容器に移す際、幼虫の食べカス?もある程度一緒に移した方が良い結果が得られます。
*産卵木をセットしてから1ヵ月~1ヵ月半程したら産卵木を取り出し、取り出した産卵木を広葉樹のマットなどにうめこみ1ヵ月程経ったら割り出す方法もオススメです

4.幼虫飼育は、菌糸瓶飼育、マット飼育、材飼育など、いくつかの方法があります。概ね1L程の容量があり、蛹を作るスペースが充分にある容器で飼育します。幼虫は多くは1~2年で蛹になり、羽化します。

 

ブナ林の秘境に生息するヒメオオクワガタ。
あなたも、ハイキングがてら秘境にヒメオオクワガタを観察しに行きませんか?
大自然の中、活動するヒメオオクワガタを見れたなら、ある種の感動を覚えることうけあいです。
くれぐれもクマや野生動物、蜂にご注意で。

 

 

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