カラスの寿命は?死骸がないのは何故?
その生態に迫る!
都会でもよく見かけるカラス。
頭が良く、賢いことでも有名ですね。
そんなカラスですが、寿命はどれくらいなのか?
あんなにいるのに死骸を見かけないのは何故か?
その生態についてご紹介します。
カラスの死骸を見かけない理由
早速ですが、あんなにカラスがたくさんいるのに死骸を見かけることはほとんどありません。その理由は、弱ったカラスは棲家の森林にもどり、そこで弱って死に、様々な生き物に分解されるからだと考えられています。また、カラスは共喰いをするため、死んだカラスは他のカラスが食料として食べてしまうこともあります。
日本にいるカラスの種類
カラスは「スズメ目カラス科カラス属」に分類される鳥で、日本にはハシボソガラス、ハシブトガラス、ミヤマガラス、ワラリガラス、コクマルガラスの5種が生息しています。都会によくいるのはハシボソガラスとハシブトガラスです。東京都内にはハシブトガラスが多く、地方都市等ではハシボソガラスも多く生息しています。
カラスの生態
ハシブトガラス:全長約55cm、体重600~800g程
ハシボソガラス:全長約50cm、体重400~600g程
生態:
木の上に巣を作ります。都会では電線の鉄塔などにも。都会では巣の材料にハンガーを使うカラスもいます。卵やひなの寝床には藁などが敷かれます。卵は3~5個程産み、大きさはうずらの卵の2倍程。メスが抱卵している20日程は、オスがエサを探してきます。カラスの1年は1~2月につがいを作り、2~3月はなわばりを強化、3~4月は巣作りと産卵(巣を中心に半径100~400m程がなわばり)、4~5月はヒナを育て、6~7月にはヒナは巣立ちますが、8月頃までは家族で過ごし親鳥が面倒をみます。9月頃には幼鳥は完全に独立します。つがいのいない若いカラスは群れを作り、その数は数羽~数千羽になることも。群れにリーダーはいませんが、序列はあるようです。力の強いオスは序列が高くなります。カラスの1日は、日の出前に活動をはじめてエサを捜し、日没前にはねぐらにもどって休息します。1日の移動距離はねぐらとエサ場が離れている時は、20~30キロになる時もあります。クチバシも器用で、ひもの結び目などをほどくこともできます。
エサ:
雑食で何でもよく食べます。生ゴミから、セミやカブトムシといった昆虫、植物、木の実、ネズミや小動物の死骸など。ハシブトガラスは木の上など高いところにいることが多く、ハシボソガラスは地上を歩く時間が比較的に長いです。
寿命:
鳥の中でも寿命は長く、野生では10~20年程と考えられ
飼育下ではワタリガラスが60年生きた例もあります。
(野生では飼育下の半分程度の寿命になると考えられています。)
天敵:
フクロウやオオタカに捕食されることがあります
*昼間は逆に集団でフクロウを攻撃することもある
カラスは賢い!
カラスの脳の重さは10g前後で、体重の1.5~2.5%程。
ニワトリの脳の重さが体重1200gに対して3.5g前後なので(体重の0.3%)鳥の中でも脳が重たい種類です。
脳の発達の度合いをあらわす「脳化指数」も
人間0.89
イルカ0.64
チンパンジー0.3
サル0.25
クジラ0.21
カラス0.16
イヌ0.14
ネコ0.12
・・・と、犬や猫より高いとされています。
・記憶力が高い。エサを安全な場所に貯蓄することがあり、保存します。その場所を忘れませんし、人間の顔も見分けることができます。
・鳴き声で仲間と会話することができます。ヒナがエサをねだる声や、なわばりを知らせる声、仲間に危険を知らせる声、威嚇する声など様々。飼育下ではオウムやインコのように、教えると人間の言葉を真似ることもできることが確認されています。
・クルミを空中から固い岩やコンクリートに落として割る。また、自動車にひかせることで割るカラスも。
・学習能力が高い。かかし等のカラス除け対策を講じても、最初は効果があるが学習して危険がないと判断するとカラス除けに動じなくなる。
カラスは害鳥?人間の敵?
・ゴミ袋を散らかす
・稀に巣の近くを通った人を襲うことも。襲う時は後ろから頭を攻撃することが多い。(威嚇でガラララという鳴き声)
・糞による汚れ問題
・農作物の被害(種をほじったり、新芽を抜いたり、果樹を食べたり)
ビニールハウスのビニールを破ってしまうことも。
・家畜の被害・・・仔馬や仔牛、ニワトリのヒナがカラスに襲われることがある。
・海でも、漁の魚を狙ったり、天日干し中の魚を食べてしまうことも。
*増えすぎたカラスは人間により駆除されています。
〇カラス対策として
・鏡などをつけたリアルなかかし
・クラッカーなど音による脅しを定期的に行う
・ビニールハウスにはテグスを張って防御や防鳥ネット
・ゴミ捨て場の管理、頑丈なゴミ箱やカラスよけネットetc
〇カラスの良いところ(人間から見て)
・動物の死骸や害虫などを食べてくれる
・木の実を食べて、種子を拡散する
カラス伝説
・日本では『古事記』、『日本書紀』で神武天皇が道に迷ったときに、神の使いとして3本足のヤタガラスが道案内したという逸話が有名です
・京都の鞍馬山で、幼少の頃、源義経を鍛えたといわれる鴉天狗伝説
・中国では、太陽の中に住むという3本足の金鳥
・北欧神話に登場するオーディーンの使いワタリガラス、フギン(思考)とムニン(記憶)
今や日本全国、どこにでもいるカラス。
その生態はいかがでしたでしょうか。
上手にカラスと付き合っていきたいですね。